離婚して夫名義の家を自分名義に変更したいときの注意点
離婚したあと家を売らずに住み続けたいけど、名義の問題が気になりませんか。
夫の名義、夫婦共有名義、親名義、などなど様々なケースがあるでしょう。ここでは、離婚と家の名義について、押さえておくべきポイントをご紹介します。特に、夫婦の共有名義については面倒な点も多いので、詳しくみていきましょう。
家の名義とは、不動産所有権のことでいいの?
家の名義について気にされている方がはじめに確認しておきたいのは、「名義」が何を指すのか、です。
不動産の所有権のことなのか、住宅ローンの名義のことなのか、それによって違いがあるので、まずは話を分けて考えていきましょう。
家の名義を、登記情報としてみる場合
文字通り、物件名義になります。
法務局で管理されている登記情報をみれば、物件の所有者が誰なのか確認することができます。
不動産の所有権の話であれば、離婚に伴う財産分与で持ち主となった人に名義を変更することが可能です。ただし、登記情報の変更(所有権移転登記)には費用がかかったり、贈与による税金がかかることもありますので、注意しましょう。
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家の名義を、住宅ローン名義でみる場合
誰の名義で住宅ローンを組んでいるのか、という話です。
住宅ローンを組む際は、金融機関によって、年収や勤続年数など融資できるかどうか審査が行われます。この住宅ローンの名義は、簡単には変更できません。
例えば、年収500万円の夫が借り入れた住宅ローンの場合、専業主婦の妻に名義を変更することはできません。
家の名義とは、登記とローンどちらのこと?
離婚と名義について調べていくと、所有権のことなのか住宅ローン名義のことなのか、不明瞭な記事が散見されます。
離婚において押さえておくべきなのは、住宅ローンの負担割合が、夫婦の不動産持分となることが多いということです。厳密には個別の判断が必要になるため、専門家への相談がおすすめです。
離婚した家の住宅ローン名義変更における3つのケース
前提として、夫の名義で契約した家における、離婚後の名義変更を想定して、ご説明します。
夫名義の住宅ローンで購入した家に、夫が住み続ける
名義人がそのまま住むパターンですのでローン契約自体に問題はありません。
しかし、連帯保証人については注意が必要です。
連帯保証人は法的にも債務者と同じ扱いとなり、保証から外れるのは容易ではありません。
妻の立場からすると、連帯保証を解消できなくては、別れた夫の住宅ローン滞納が合った場合に自分に請求がくることになります。
対策としては、公正証書などで夫の延滞に関する取り決めを事前にしておくことが有効です。法務局などで案内を受けることもできるので、確認しておくといいでしょう。
妻に住宅ローン名義を変更して、妻が住み続ける
夫から妻に、住宅ローン名義の変更を行うパターンになります。
具体的には、住宅ローンを借り換えることが考えられます。この場合は資金にもある程度余裕がある必要がありますので、人によっては、現実的ではなく、妻名義に変更できるのは稀なケースです。
ちなみに、夫が住宅ローンを完済したら、名義変更できることがあります。この場合は、トラブルを防ぐためにも、名義を変更する旨を公正証書に記載しておきましょう。
夫名義の住宅ローンで購入した家に、妻が住み続ける
夫が住宅ローン名義人の家に、別れた妻が住み続ける場合です。
本当のところは名義を妻のものに変更したいかもしれませんが、物件価値の半分を払って名義を変更するようなやり方は容易ではありません。
夫名義の不動産でも、どうしても住み続けたい事情があるときには、賃料を支払って住むのが適当です。
夫側に養育費を支払う義務などがある場合には、賃料やローン相当額とその金額とを相殺することもあります。取り決めは公正証書としておき、居住する妻は、できる限りトラブルに備えた上で住み続けるべきでしょう。
離婚で共有名義の家の名義変更する場合
夫婦で共有名義の家の名義を変更する場合、問題が生じる可能性があります。共有名義の不動産について、どんな問題があるのか確認していきましょう。
家の共有名義とは?
不動産の購入者がひとりで登記した名義のことを単独名義と呼ぶのに対し、1つの不動産を夫婦などが共同で取得し登記したものを共有名義といいます。
共同で出資することから、共同名義という言葉が使われることがありますが、基本的には同じ意味合いを示します。
共有名義の家は、名義変更が難しい
近年は共働きの家庭も多く、住宅ローン控除を二人で受けられるメリットなどもあるので、夫婦の収入を合算して住宅ローンを組んでいることが少なくありません。
しかし、住宅ローンの共有名義を解消は簡単ではありません。
仮に夫婦の収入から同じ割合で住宅ローンの負担をしていたとすると、離婚によって収入が半分になります。それでは、単純計算で信用は半分になり、銀行から名義変更は認めてもらえません。
もし名義変更をするなら?
共有名義の住宅ローンを解消し、どちらか一方に名義を変更するなら、次のような方法が考えられます。
- 住宅ローンの残債を減らす
- 親など他の人に払ってもらう
夫婦の収入を合算しているため、片方の信用で足りる金額まで残債を減らす方法が考えられます。
現実的には、現金一括で返済ができるのであれば、そもそも住宅ローンを組んでいないはずです。
一般的には、夫から妻への名義変更なら、妻の親族を代わりの名義人に立てるなどして、帳尻を合わせることで名義の変更をすることになるでしょう。
離婚に伴う家の名義変更でかかる税金は?
離婚にともなって家の名義変更した場合、名義変更には税金がかかることがあります。
贈与税・不動産取得税
贈与税や不動産取得税は、原則として支払う必要はありません。
ただし、財産分与を行ったものの金額があまりに大きすぎる場合には課税されることがあります。判断の基準は、夫婦が婚姻中に得た財産の金額などを考慮して、これを大きく超えているかどうかになります。
また、贈与税・相続税の支払いを不当に免れる目的があった場合には課税されます。
譲渡所得税
譲渡所得税は支払わなくてはいけません。
マイホームの売却における3000万円特別控除などが適用される時はこの譲渡所得から差し引いてから、税率を掛け合わせることになります。税率についても長期の所有かどうかで違うので、確認しておくと良いでしょう。
*特別控除については「事情が違えば支払う税金も変わる?不動産売却で使える特別控除とは」で詳しくまとめているので、ご参照ください。
*税率については「5年、10年を超える所有で節税に?所有期間で変わる不動産売却の税金」で詳しくまとめているので、ご参照ください。
登録免許税
登録免許税とは、不動産の登記に関する税金になります。財産分与にかかわらず不動産の名義変更をする場合、1件につき1000円がかかります。登記に関しては司法書士に委託することがありますが、司法書士に委託する場合は1万円から数万円まで場合によってことなりますので、確認しておきましょう。
売却すれば現金で清算ができる
離婚に際した不動産の名義変更、特に共有名義について説明してきましたが、不動産を少しでも高く売却して現金で分けることができれば問題をシンプルにすることができます。
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