不動産売却で得した・損した、それぞれの確定申告と税金の注意点は?

最終更新日:2019/07/25

不動産売却は目に見えて大きな現金が動くことになります。すると気になるのは、納税の話ではありませんか?売却で手にしたお金が「いくら手元に残るのか」というのはみなさん確認しておきたい問題だと思います。

今回のテーマは、不動産売却後の確定申告です。不動産売却で得たお金の申告はどういったものなのかもしくは自分は申告が必要なのか、確認していただきたいと思います。

不動産売却で税金関係の申告は必要?

不動産売却をした後、利益があると税務署への申告が必要になります。そもそも確定申告は、所得にかかる税金を算出し納税するための手続きです。不動産の売却益以外にも、投資で儲けたり副業をしたり、所得があれば申告していくことになります。ここではそういった申告に関する基本的な事項を紹介していきます。

確定申告はどんなものなのか

通常の会社員は、給料以外に所得がないなら会社がかわりに申告してくれるので、確定申告をすることはありません。しかしそんなサラリーマンでも不動産売却で儲けが出ると、これを「譲渡所得」と呼び、通常の給与所得とは分けて課税されることになります。

確定申告の場所と時期

確定申告を行うのは、所在地を管轄する税務署です。課税の時期についても気をつけなくてはいけません。確定申告では、毎年1月1日~12月31日の期間に発生した所得を、翌年の2月16日~3月15日の期間で申告することになります。いつ不動産を売ったら、いつ申告するのか、時間や場所は決まっているので、ご注意ください。

フリーランスや自営業の方は毎年ご自身で確定申告をしていると思うので、時間と場所に注意するのは当然かもしれませんが、一般のサラリーマンにとってはこの「申告作業」が不慣れな方も多いと思いますので、確認しておいていただきたいと思います。

不動産売却で損失が出たときの確定申告

不動産売却では、「利益が出た時にだけ申告しなければいけない」といったマイナスのイメージが強いかもしれません。しかし損失の申告をすることで、今後の税金を軽減できる制度もあり、意外と、損失の場合の申告の方がやっておきたい手続きかもしれません。具体的にはどんな制度があるのか、ご紹介します。

他で得た所得との相殺

先程、売却の利益を「譲渡所得」として紹介しましたが、売却ででた損失は「譲渡損失」として扱うことができます。所得の場合は申告して納税をしましたが、損失の場合には課税対象の所得がないので、当然税金は発生しません。しかし「損益通算」というものがあり、売却をした年に他に所得があれば、それと相殺して納税額を軽減することができます。更に損失額が所得を超えている場合、譲渡損失の「繰越控除」という特例を適用できるかもしれません。他の所得が少なければ、売却年と合わせて最大4年間、支払う税金を減らすことができるので、該当する人は必ず申告しておきたところです。

他にも使える控除の特例

不動産売却で発生した譲渡損失の繰越控除は、他にも特例が用意されています。まずは不動産の「買い替え」に使える「マイホームの買換えの場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例」です。利用には一定の条件を満たす必要がありますが、買い替えを検討しているなら、要チェックです。

買い替えをしなくても、「特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」というものも用意されています。これは先程の条件に加えて、住宅ローン残高が売却額を上回っている場合に一定の控除を受けることが可能になります。

ここまでみてわかるように、損失が出てしまったからといって何もしないと更に損をしてしまいます。特に他の所得がある場合には有効活用できる可能性が高まりますので、気に留めておくといいでしょう。

不動産売却での確定申告書類の書き方

不動産売却での損益を申告するのは、やっぱり誰でも面倒だと思います。ここでは、気持ち的な負担を軽くしていただくために、どんなことを記入していくのかを紹介します。税率の計算や書類の種類など複雑かもしれませんが、お付き合いください。

税務署から取得する必要書類

税務署の公式ホームページからのダウンロードや税務署にいって取得するのは「確定申告書B様式所得税青色申告決算書(不動産所得用)・譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)」です。

これら申告書の書き方については記入例とともに国税庁のサイトで確認することができます。不安があれば窓口にいって確認もできるので、実際に記入するときは活用してみてください。

自分で用意する必要書類

一方で、自分で用意するのは不動産売却でかかった金額を証明できる書類です。主に「不動産購入時の売買契約書不動産売却時の売買契約書売却にかかる費用の領収書等」が該当します。いずれも重要な書類になるので、きちんと保管して申告すると良いでしょう。

譲渡所得から税額を算出

まずは不動産売却で、いくら儲けたのかを計算していきます。譲渡所得は「売却額」から「取得額と売買にかかった諸経費や控除額」を差し引いたものです。

ここで算出した金額と物件の所有期間から、納める税金を計算していきます。所有期間に関しては「5年」で税率が変わります。5年を超えて所有すると所得税は30%から15%へと軽減され、算出される税額は大きく異なるので注意が必要です。

不動産売却の税金と特別控除

不動産売却で得た利益(譲渡所得)には税金が課せられますが、条件を満たすことで控除を受けることができます。3000万円特別控除といわれるこの控除はどんなものか、また、受けるためには何をすべきなのか、紹介したいと思います。

3000万円特別控除とは?

3000万円特別控除は不動産売却で生じた利益のうち、文字通り、最大3000万円まで控除される特例のことを指します。ただしこれを受けるにあたっては、ある程度条件を満たす必要があります。

居住用かどうか

まずは居住用として、誰かが済む目的の不動産である必要があります。投資用であったり別荘であったりすると控除対象ではありません。また、居住用の不動産でも3年間使用のない場合には同じく対象外になるので気をつけなくてはいけませんただし2016年4月から2019年12月31日の間は、相続物件に対しても特別控除の対象になります。

身内間での売買は対象外

親兄弟間などで行われた売買の場合、特例を受けることはできません。権利の移転などが曖昧になるので当然かも知れませんが、注意が必要です。

すでに特例を受けていないか

特別控除の適用外になる条件として、すでに同じ特例を直近の前々年までに受けている場合や、買い替えなど他の特例を受けている場合があります。何と何が併用できて、また、何ができなのか、複雑ですが確認しておくといいかもしれません。

複雑な条件はありますが、不動産売却で利益が出る場合、3000円の特別控除は有効活用したいはずです。条件をよく確認して、無駄のない売却をしていただきたいと思います。

譲渡所得税を申告しないとどうなる?

そもそも確定申告をするのは、税務署が個人の所得をすべて把握するためです。したがって、不動産売却でも利益(譲渡所得)がある場合は、必ず申告しなければいけません。ここでは申告が不要なケースと、申告しないで放置してしまった場合におきることを紹介して参ります。

20万円以下の所得は申告不要

サラリーマンなどは、給与所得以外の所得を申告し、納税していくことになります。先程別途所得があるときは必ず申告しなくてはいけないと書きましたが、例外として、その他所得の合計が20万円以下の場合には申告が不要なので、自分の所得がいくらか、確認しておきたいものです。

放置にはペナルティ

確定申告の期限として不動産を売却した次の年の3月15日までと期日がありましたが、これを過ぎてしまうと、無申告という状態になってしまいます。こうなると「無申告加算税」が課せられることになり、大変複雑になってしまいます。無申告加算税は税額に対して、

50万円以下の部分 15%
50万円を超える部分 20%

となっています。もし万一無申告になってしまっても、一ヶ月以内に自主的に申告を行い、かつ以下の要件を満たせば無申告加算税を支払う必要はありません。

・支払うはずだった税金を、法定期限までに全額納付
・申告書提出の前日から数えて5年間で無申告加算税や重加算税が課せられておらず、さらに無申告加算税の不適用を受けていない

ご覧の通り、複雑な手続きが生じてしまいます。また、納付期限までに全額納付しない場合にも利息相当の「延滞税」が発生します。いずれも注意が必要ですので、できるだけ早く確定申告を行うようにしましょう。

刑罰の対象になる場合

支払うべき税金が確定しているにもかかわらず、不正に納税を免れてしまうと、逋脱犯(ほだつはん)として罪に問われてしまいます。この場合は「10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金またはこれらの併料」と、罰則があります。納税を逃れようとする人はこの記事を読んでいないと思いますので、参考程度にご案内できればいいと思います。

納税は国民の義務ですので、所得がある時には原則、申告しなくてはいけません。確定申告が必要かどうかは事前に確認し、時間にも余裕を持って対応していきましょう。

不動産売却で税務署から届く「お尋ね」

不動産売却の後、不動産会社から「お尋ね」と呼ばれる連絡がくることがあるようです。何も知らなければ不安に感じるかもしれないので、簡単に紹介しておきます。

お尋ねがくるのは、不動産売却をした後に確定申告をしていないときです。これは悪いことをしたから届くというものではなく、あくまで確認の連絡です。うしろめたいことがあれば別ですが、大抵質問に答えるだけで済むようなので、安心して対応するといいでしょう。

「不動産売却と税金」の記事一覧