法人化した方が節税に?不動産売却で税金は個人・法人でどう違うのか

最終更新日:2019/07/17

不動産売却にかかる税金は法人・個人でまったく異なります。

マンションや戸建てなど自分の不動産を売却するという個人の方がほとんどかもしれませんが、法人化のメリット・デメリットを正しく認識しておくことでどちらがより節税できるのかを判断できます。

そこで今回は、初めて法人化について検討し始めた方向けに法人の不動産売却と税金の関係を紹介します。すでに法人化を考えている方も、ぜひ参考にしてみてください。

法人の不動産売却でかかる税金

不動産売却では特例など税負担を軽減できる施策が多く、状況によって支払う税額がかわります。まずは個人・法人を比較するため、一般的な税率を紹介しておきます。

個人で保有する不動産の売却にかかる税金

個人の不動産は物件の保有期間により、課せられる税金が異なります。保有期間は5年を境に変わり、5年を超える長期保有では20%、それ以下の短期保有では39%で計算します。課税対象のことは長期譲渡所得・短期譲渡所得とそれぞれ呼ばれ、5年経過した年の12月31日を超えなければ長期譲渡所得とみなすことはできないのでご注意ください。

法人で保有する不動産の売却にかかる税金

法人税の実効税率は年々下がっており、資本金が1億円以下の法人の場合は2020年12月期で33.59%となっています。

実効税率とは

実効税率は法人の「利益」にかかる税金です。何を経費にカウントするのか会計上の都合で実際の利益とは異なることもありますが、利益100万円で40万円納税するなら、実効税率は40%だと考えることができます。

基本的な税率で考えると短期所有の物件なら個人39%に対し法人は33.59%なので、この時点では法人化するとお得にみえるかもしれません。

【参考】個人の場合の特例

マイホームを個人が売却するとき3000万円の特別控除というものがあります。仮に短期譲渡所得でも、税率を算出する前の数字から3000万円控除することができるので、高い税率でも負担は軽くなります。

式 (譲渡所得-3000万円)×39%

不動産売却の税金計算における経費の考え方

法人の不動産売却における経費は個人の場合と比べていくつかの違いがあるので、確認していきましょう。

個人・法人での考え方の違い

不動産売却だけではありませんが、不動産売却では法人と個人で経費の考え方が異なります。

・個人における経費の考え方

不動産売却で生じた所得は分離課税として、通常の給与所得などとは分けて計算されます。不動産売買時に発生した諸経費や取得代金を売却代金から差し引いて、利益部分に該当する「譲渡所得」を算出します。

つまり、譲渡所得には不動産売却に関するもの以外の経費を含めることができないということになります。

・法人における経費の考え方

一方で法人の場合、不動産売却のみならず、すべての収支をもって利益を計算します。つまり物件の売却益を、他の相殺することができるので、場合によって節税効果が期待できます。

法人の経費はどのように計上する?

法人の不動産売却で決定的に異なるのは、物件の価額です。

一般的に不動産売却における利益は以下の考え方で計算します。

売却代金-(物件価格+諸経費)=利益

個人の場合、物件の価格は「取得費」をもって計算しました。一方で法人の場合は「売却時の帳簿価額」を使うことになります。

帳簿価額については、土地・建物で考え方が違います。土地の場合は原則的に取得価額がそのまま帳簿価額になります。一方で建物は、会計上、毎年減価償却がされるので、経年劣化を加味した金額が帳簿価額になります。

なお購入時仲介業者に対して支払った3%×6万円(上限)の仲介手数料は、不動産の取得価額に含むことになります。

不動産売却時にかかる租税公課

租税公課とは、経費に含むことができる税金などのことを指します。公租公課とも呼ばれ、不動産売却では印紙税や登録免許税などがこれに該当します。

不動産の引渡日

法人の不動産売却では、原則的には物件を引き渡した日を引渡日として扱いますが、特例として売買契約を締結した日を引渡日とすることもできます。

節税という観点では、上記2つの引渡日が期をまたぐ場合、どちらで計算するかによって納税額が大きくかわることがあるので上手に使うことで税金対策になります。

不動産売却をした法人の仕訳

1.物件の売買契約を締結すると、頭金・手付金を受領します。これは「前受金」などの勘定科目を使って仕訳を行うことになります。

借方 貸方
現金 前受金

2.売却時、建物にかかる減価償却を日割りで計上しなくては行けないので、減価償却費を、相手科目を建物として仕訳します。

借方 貸方
減価償却費 建物

3.売却益については、「固定資産売却益」などの勘定科目を用いて仕訳します。また、先程計上した前受金もあわせて精算します。

借方 貸方
前受金 土地
普通預金現金 建物
固定資産売却益

法人が不動産売却益を節税するには

先程個人の不動産売却にはいくつか特例があり、それによって節税が可能だと紹介しました。次に紹介するのは法人だからこそできる節税の施策です。法人による不動産売却の税金については、契約している税理士さんに任せることが多いかもしれませんが、簡単な例を紹介します。

減価償却費を計上して利益を減らす

不動産売却で大きな利益を上げてしまったときは、他に損金を計上して利益を小さくする方法が有効です。個人の場合、譲渡所得は譲渡費用でのみ相殺できましたが、こちらは法人ならではの節税といえます。

例えば、別に不動産を購入して利益を相殺するという方法が考えられます。減価償却費を大きく計上するためには「耐用年数」が少ないほど効果的な節税が可能です。また、特別償却できる設備を購入すれば、特別償却(さらに多額の減価償却費を計上できる)を適用でき、さらに効果的な利益の圧縮ができます。

※特別償却について
詳細は国税庁公式サイトにて

法人の不動産売却では消費税に注意

法人が不動産売却を行う時、消費税には注意しなくてはいけません。2つのポイントで紹介していきますので、参考にしてみてください。

個人ではかからなかった消費税

個人がマイホームを売却するとき、物件に対して消費税はかかりません。しかし法人の場合、事業用の資産を譲渡していると判断されるので消費税がかかります。

土地は課税対象ではない

不動産売却は消費税が発生すると紹介しましたが、土地については非課税になります。消費税は文字通り「消費されるもの」が課税対象です。その点、土地は消費されませんので、課税されないということになります。

消費税については「不動産売却で「消費税がかからない」は間違い?実例で学ぶ課税対象」で詳しくまとめているので、ご参照ください。

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