不動産会社の都合から考えるマンション売却の仲介手数料

マンション売却というのは、不動産会社の仲介を通して、自分の不動産を個人・法人に売却する手続きのことをいいます。

これに対しマンション買取というのは、自分の不動産を不動産会社(買取業者)に直接買い取ってもらう手続きを指します。

今回は前者のマンション売却における「仲介手数料」のことを詳しくまとめています。不動産買取ではありませんので、まずはご承知おきください。

マンション売却の流れ

まずはマンションを売却するまでの流れを確認しておきましょう。

準備

不動産の売却を始める時、はじめに自分の物件周辺の相場を確認するのではないでしょうか?

国税庁の路線価や固定資産税評価額を持って物件の価値を推定したり、国土交通省の「不動産取引価格情報検索」で似た物件の実際の取引価格を調べたり、おおよそいくらなのかの見当をつけておくことは売却のビジョンを決めるのには重要になります。

一括査定サイト

不動産売却では、一括査定サイトの活用が一般的になっています。一括査定サイトを使えば、入力した物件情報を元に最適な不動産会社とマッチングされ、査定額や会社の対応を比較しながら契約にすすむことができます。

1.媒介契約

不動産会社が決まると、媒介契約を交わします。媒介契約は一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約と主に3種類あり、売却の事情によって最適なものが異なります。

*媒介契約については「マンション売却における不動産会社との媒介契約で、失敗しないために」で詳しくまとめているので、ご参照ください。

2.買い手を探す

契約する不動産会社が決まると、実際に買い手を探してもらうことになります。不動産会社はレインズ(不動産流通機構)やインターネットに物件を登録したり、チラシを投函したりして買い手を集めます。購入希望者が実際に不動産を内見するのも、この段階になります。

売主本人が売却活動をすることは少ないですが、どんなことが行われているのか、確認しておくといいかもしれません。

3.売買契約

購入の申込みを受けて、売買契約を結ぶ段階です。ここでは物件購入代金の一部を「手付金」として受け取り契約を行いますが、実際の売買に入る前なら買い手はこの手付金を放棄すれば契約を解除できるので、まだ確定ではありません。

金額以外にも、いつ引き渡すかなどの調整もこの時に行われます。

4.決済・引き渡し

最後に物件の引き渡しと、代金の決済が行われます。廃品の撤去などもしっかりと済ませた状態での受け渡しになるので、しっかりとしたスケジューリングが求められます。

マンション売却における仲介手数料

さてマンション売却における仲介手数料ですが、基本的には土地や戸建ての売却における仲介手数料と同じです。

仲介手数料とは

不動産売買における仲介手数料とは、物件の売却を仲介する不動産会社への報酬になります。金額は法令で厳密に決められていますが、基本的には不動産の売却代金に対して一定の金額で発生します。

不動産会社の立場でいうと、不動産会社は売買を成立させなければこの報酬を手にすることはできません。

もし不動産会社Aが一般媒介契約を結んでいる時、売主が他の会社Bで買い手を見つけてしまうと、A社は仲介手数料を受け取ることができません。一方で専任媒介契約や専属専任媒介契約なら不動産会社は他者の横取りに合うことはなく、安心して売却活動を進めていける、というようなことも起こりえます。

仲介手数料の計算

マンション売却ではいくつかの費用が発生しますが、中でも不動産会社への仲介手数料は大きな比重を占めます。

一般的に不動産会社への手数料は「売買代金の3%+6万円+税金」と言われます。実はこの計算式ですが、法令等で以下のように定められています。

宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買又は交換の媒介に関して依頼者から受けることのできる報酬の額は、依頼者の一方につき、それぞれ、当該売買に係る代金の額又は当該交換に係る宅地若しくは建物の価額を次の表の上欄に掲げる金額に区分してそれぞれの金額に同表の下欄に掲げる割合を乗じて得た金額を合計した金額以内とする。

(国土交通省告示より抜粋)

契約金額 報酬額
200万円以下の金額 100分の5.4
200万円を超え400万円以下 100分の4.32
400万円を超える金額 100分の3.24

※小数点以下は消費税になります。
*消費税については「不動産売却で「消費税がかからない」は間違い?実例で学ぶ課税対象」で詳しくまとめているので、ご参照ください。

つまり、400万円以下の部分を予め6万円と算出し、400万円以上の物件の手数料計算で調整額として使った結果、「売買代金の3%+6万円+税金」という計算式になるのです。

仲介手数料の上限・相場

ここまでみてきた仲介手数料ですが、この金額は不動産会社が受け取ることのできる「上限」になります。つまり場合によっては3%ではなく2%、1%としても構わないということです。

しかし現実は「上限=仲介手数料」となっています。

というのも不動産会社は、仲介業務でかかる費用を依頼主に請求することができません。例外的に依頼者が普段行わない販促活動を依頼した場合などには請求できますが、広告はもちろん案内のための人件費についても、もちろん請求できません。

このため不動産会社はどれだけ活動しても仲介手数料の金額しか受け取ることはできないので、上限額が約束されていることで安心して売却活動ができるのです。

両手仲介

不動産売買では、売り手だけでなく買い手にも仲介業者がいます。不動産業界では買主(借り主)側の仲介を客付け、売主(貸主)側の仲介を元付けなどと呼び、役割を区別しています。それぞれ同様に仲介手数料を受け取っていますが、ひとつの不動産会社が客付けと元付けの両方を行うことがあります。これが両手仲介です。

両手仲介では単純に仲介手数料が2倍に、例えば3000万円で成立した売買で、片手で96万円だった仲介手数料を192万円にすることができるので、大変オイシイ取引になります。

囲い込み

両手仲介は、高く売りたい売主と安く買いたい買主の間で利益相反になるのではないかという議論がありますが、法律違反ではありません。

一方で、両手仲介を求めるあまり「囲い込み」を行う業者がいるので気をつけなくてはいけません。囲い込みとは、両手仲介を成立させるために、レインズに登録しなかったり、すでに申し込みが入っていると嘘をついたりして、故意に他社が物件を見つけられないようにすることを言います。

これは買主・売主双方にとって選択肢を狭める行為になるので、ルール違反です。

専任返し

また、物件を買取再販業者(物件を仕入れてリフォームなど付加価値をつけて販売する会社など)に仲介した不動産会社が再販の時にも専任媒介契約を結び売却することを業界では専任返しといいます。細かな事情などは割愛しますが、こちらも一つの物件で2度に仲介手数料を得られる手続きになるので、紹介しておきました。

低廉な空き家の売買における特例

平成30年から施行された仲介手数料の改正で、400万円以下の低廉な空き家売却で最大18万円を受け取ることができるようになりました。

【参考】低廉
[名・形動]金額が安いこと。また、そのさま。「低廉な価格」(デジタル大辞林)

改正前の状況

これまでは地方の空き家が200万円で売買される時の手数料は、

200万円×5%=10万円

で、移動などのコストがかかる割に利益が小さく、積極的に扱う業者が多くはありませんでした。

改正の狙い

受け取れる仲介手数料を引き上げて、空き家の流通を促すことが狙いになります。売主との合意は必要ですが、これにより不動産会社は売値が小さな空き家でも一定額の報酬を受け取れることができ、売却希望者も空き家の売却ができるようになります。

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