不動産売却でできる税金対策をまとめました
不動産売却では売却代金から経費や取得費を差し引いた金額が課税対象になります。しかしいくつかの条件を満たすことで、税負担を軽くすることができるのはご存知でしょうか?
今回は税金対策の観点から「マイホーム」「相続物件」のそれぞれの売却について確認していきましょう。
マイホームの売却
マイホームと書きましたが、ここでいうマイホームは自分が「住むために」もっている物件のことを指します。マイホームの売却にはいくつか特例があるので、紹介します。
3000万円の特別控除で譲渡所得を圧縮
まずは譲渡所得の計算式の確認です。
通常不動産売却では、譲渡所得に対して「所得税」「復興特別所得税」「住民税」がそれぞれ課せられることになります。この税金を以下に小さくできるかということになりますが、マイホームの場合には3000万円の控除を計上することができます。
適用にはいくつか条件や注意点があるので紹介しておきます。
適用条件
親子・夫婦間の取引でないこと、前年・前々年に同様の特例を使っていないことなど。
注意点
マイホームと書きましたが、住まなくなって3年目の年末を迎えると、控除の対象から外れてしまいます。
長期譲渡所得・短期譲渡所得
不動産売却では物件の保有期間で税率がかわります。5年以下の短期譲渡所得なら所得税・住民税をあわせて39%、5年以上の長期譲渡所得なら所得税・住民税合わせて20%が税率になります。投機的な売買の抑制を目的に作られたようですが、納税額を半分にできるのでぜひ活用したい制度です。
所得税・住民税を試算
まずは先程の計算式から、納税額の計算まで行います。
(譲渡所得-3000万円)×税率=譲渡所得税
さて例として不動産の譲渡所得が3500万円で、保有は6年の物件で計算してみます。
仮に特別控除が適用できなかったなら、
さらに5年以下の短期譲渡所得の税率で計算するなら、
です。あくまで一例ですが、金額にして数百万以上かわることになりますので、税金対策は必ず確認しておきたいところです。
併用できない他の特例
また、3000万円特別控除は以下の特例と併用できないことも注意しなくてはいけません。
譲渡損失の繰越控除
不動産売却で損失を計上すると、その額を翌年以降まで繰り越して相殺することができる特例。
買い替えの時に使える「マイホームの買換えの場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例」や住宅ローン残高がある場合の「特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」などがこれに該当します。
買換え特例
不動産の買い替えの時に使える特例。こちらも一定の要件はありませんが、課税を将来に繰り延べることができます。
住宅ローン控除
住宅ローン借入から10年、ローン残高の1%に値する額を税金から差し引けるもの。不動産の売却後に住宅ローンを組んで新たに不動産を購入するときは、3000万円特別控除と住宅ローン控除のどちらが税金対策に効果的か判断しなくてはいけません。
相続物件の売却
相続した物件の売却の時は、他の税金対策も考えることができます。
先程、譲渡所得の計算で取得費というものが登場しました。この取得費が大きくなれば譲渡所得を圧縮できるので、納税額を小さくできるのはお分かりかと思います。
相続の場合の取得費の考え方
さて相続した不動産の取得ですが、0円ではありません。親などが不動産を購入した時に発生した金額こそが「取得費」になります。
取得費に含むことができるもの
取得費には、相続した人が支払った諸経費を計上することができます。例えば登記に要した費用などがそれに該当します。この取得費がわからない時は、売買価格の5%を概算取得費として計上することもできるので、合わせて覚えておくといいでしょう。
物件の所有期間の数え方
相続不動産では、所有期間を亡くなった被相続人が取得した日から計算することができます。したがって相続して日が浅くても「長期譲渡所得」を適用できることもありますので、ご安心ください。
相続不動産の3000万円特別控除
条件を満たせば、相続不動産でも3000万円特別控除を適用することができます。
まずは平成28年から令和元年の間であることです。もうひとつは相続した日から3年後の年末までに売却することです。
以上が3000万円特別控除を中心とした不動産売却の税金対策です。以下に不動産売却における譲渡所得を小さくし、税率を抑えるかがポイントになります。
不動産売却で相談するなら
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