不動産売却で節税したい人のための、スッキリわかる「税金計算」

最終更新日:2019/07/12

相続による売却だったり土地のみだったり、事情によって不動産売却の「税金計算」はとても複雑になります。国や自治体には税金を控除する特例があり、厳密な適用条件も用意されています。

今回のテーマは税金の「計算」です。これは基本的に、不動産会社の担当者や司法書士、自治体の窓口などで案内してもらうものになります。つまりこの記事を読まれている方の多くは、「自分で計算をしたい」というより、「事前になんとなく納税額を把握しておきたい・見積もりや案内の真偽を確かめたい」のではないでしょうか?

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当記事では計算に使われる項目と適用される内容を紹介し、概算で計算するためのざっくりとした考え方をまとめていきます。厳密な計算をしたい方には不向きですので、ご了承ください。

譲渡所得税の計算

まずは基本の譲渡所得の計算です。譲渡所得は土地や建物などを譲渡することによって手にする所得のことで、以下の計算式で算出します。

売却代金(収入) – (取得費 + 譲渡費用) – 特別控除額 = 譲渡所得

仮に諸費用込み1000万で取得した不動産が、売却額2000万円・売却費用に200万の場合、

2000万 – (1000万 + 200万) – 特別控除額 = 800万

となります。特別控除は要件を満たすことで、マイホームなら最大3000万円控除される場合もあり、適用条件や計算については次の項で紹介します。

さて、ここで算出した譲渡所得(この場合は800万円)が課税対象になりますが、計算に使う税率は物件の保有期間で変わります。5年を境に「長期譲渡所得」「短期譲渡所得」に分けられ、所得税率・住民税率が共にかわるので、それぞれ計算してみます。

1.所得税

不動産売却で生じた譲渡所得にかかる税金は分離課税、つまり給与所得とは分けて計算・申告することになります。

短期譲渡所得の場合は所得税率30%で計算します。上記の例なら、

800万円×30%=240万円

長期譲渡所得の場合は所得税率が1/2に減税され15%で計算します。

800万円×15%=120万円

2.住民税

住民税も所有期間で税率が変わり、短期9%・長期5%が課されます。良く使われるのは、所得税と住民税を合算した税率なので、こちらも上記の金額で試算してみます。

短期譲渡所得

800万円×39%=312万円

長期譲渡所得

800万円×20%=160万円

実際は控除等を勘案することになるのでこのままの計算式にはならないかもしれませんが、物件の所有期間で納税額が大きく変わることがわかります。これらは一定の金額を課すことで投機的な物件売買を抑制するための制度ですが、一般の家庭が不動産売却をする場合にも適用されるので気をつけましょう。

譲渡所得における特例

ここでは納める税金を少なくできる、不動産売却にかかる特別控除の特例について、どんな項目があり、どんな適用条件があるのかを確認していきましょう。

居住用財産の3000万円特別控除

概要

まずは自分の住む物件を譲渡した場合、最大で3000万円の控除を受けることができます。先の例に当てはめて計算してみると

2000万 – (1000万 + 200万) – 800万 = 0

となります。つまり全額控除の対象になり、譲渡所得の計算をする必要がなくなります。これが3000万円まで適用できるというので、できる限り活用したい特例だということがわかります。

適用条件

国税庁の公式サイトには6つの項目で詳細に適用条件を記述していますが、わかりにくい部分があります。多少省略してしまう部分もありますが、それぞれ全体像がつかみやすいように紹介していきます。

1.自分が住んでいる家であること。もし過去に住んでいた物件なら3年以内、さらに物件取り壊したなら1年以内に活用していないことが条件になります。
2.売却の前々年までに同一の特例を受けていないこと・譲渡損失にかかる特例と併用していないこと、その他特例との併用ができないかもしれないので、すでに受けている場合は適宜確認しましょう。
3.親子間、夫婦間での売買でないこと。

収用などの事由による特例

概要

公共事業などのために土地や建物を売却しなくてはいけない場合、最大で5000万円の特別控除が使えることがあります。

適用条件

1.収用に伴う不動産売却で代わりの資産を取得した場合、課税に関する特例を受けていないこと
2.買取依頼から6ヶ月以内の売却
3.最初に買取の申し出を受けた人であること

土地売却にかかる税金の特例

土地を売ってかかる税金も先程紹介した不動産売却にかかる税金と概ね同じですが、土地売却のときにのみ考える特例があります。

「特定土地区画整理事業等」に関する特例

特定土地区画整理事業等というと漢字の羅列で大変わかりにくいですが、自治体が公立の小中学校や公営住宅を建設するときなどに伴う区画整理のことを指しています。この影響で土地を売却することになれば、最高で2,000万円までの控除を受けられることになります。

「特定住宅地造成事業等」に関する特例

「特定住宅地造成事業等」における土地売却は、ざっくり住宅建設・宅地造成のために買い取られる土地だと考えることができます。これによる売却(買取)かどうかを判断するには詳細にルールが定められているのでここでは扱いませんが、認められる場合には最大1500万円の特別控除を受けることができます。

「平成21年及び平成22年取得の土地」に関する特例

2008年(平成20年)にリーマンショックが起こり不動産の価値が暴落したことでできたのがこの特例です。投機的な取引とは判断されない長期譲渡所得にのみ適用できますが、最大で1000万円の減税が可能になります。

不動産売却にかかる税金の申告

確定申告の計算は1/1~12/31に行われた譲渡所得を翌年2月に行います。上記いくつかの特例を紹介してきましたが、それでもなお譲渡所得があると納税の義務が生じます。

また、不動産売却では「譲渡損失」が出たときでも確定申告を行うことで他の税金で優遇される措置があります。

損益通算

不動産売却で譲渡損失がでているということは、当然所得税・住民税が加算されることはありません。しかし一定の要件を満たすことでこのマイナス分でその年の他の所得を減算することができる特例があるので、結果として所得税・住民税を減らすことができます。損益を合算して納税できるこの仕組みを「損益通算」といいます。

譲渡損失の繰越控除

さらにその他所得と相殺しきれなかった分は翌年以降3年にわたって、計4年間の税負担を軽減することができる「繰越控除」があります。2000万円で取得した不動産が1000万円で売れたとき(経費込)、1000万円分を他の課税所得と相殺できることになります。確定申告しなくても問題はありませんが、覚えておくと役に立つかもしれません。

計算に困ったら不動産会社に相談

不動産売却の計算で迷ったら、不動産会社に相談してみると譲渡所得額を試算してもらえることがあります。基本的には税金の種類に応じて自治体の窓口や税理士、司法書士に相談したいところですが、総合窓口としては不動産会社が良いかもしれません。

一括査定サイト

相談先の不動産会社が決まっていない人は、一括査定サイトを使うことをおすすめします。数ある不動産会社の中でも入力した条件の物件を得意とする不動産会社と簡単にマッチングすることができ、査定結果ももらえるので概算の譲渡所得を計算することもできます。

まだ不動産売却を迷っている人は、ぜひ活用してみてください。

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