マンション売却で発生する税金・経費について知っておくべきものとは

2012年のアベノミクスによる大規模な金融緩和にはじまり、2020年の東京オリンピック開催に伴う建築価格の高騰などの要因により、マンション価格が上昇傾向にあります(2019年現在)。この機会に売却してしまおうと考えている方も多いのではないでしょうか。

しかしマンションの売却は一生に一度あるかないかの特別なイベントなので、マンション売却にかかる税金・費用についてはなじみはないかと思います。

今回は、居住用マンションの売却にかかる税金について解説します。現在お住まいのマンション売却を検討している方は、ぜひご覧ください。

マンション売却にかかる税金はどのように計算されるのでしょうか?

居住用のマンションを売却した場合の税金の計算は、基本的に上記の図のとおり、売却価額から必要経費を差引き、売却益から特別控除額を控除した金額に対して、税率を掛けて、所得税を計算します。

また、土地建物を売却した場合には、事業所得や給与所得と分離して計算する分離課税により所得税を計算します。

「3000万の特別控除」は、居住用の不動産を売却する場合のみに認められた税制上の特例です。詳しくは後述します。

意外と複雑な必要経費って?

必要経費とは、取得費と譲渡費用を合計したものです。

取得費の範囲について

マンションを購入するにはさまざまな諸経費がかかりますが、その中で取得費に算入できるものとして、次のような費用があげられます。

・購入代金
・仲介手数料
・印紙代
・登録免許税
・所有権移転登記、抵当権設定登記に伴う司法書士の報酬
・不動産取得税

その他にも、購入に際して立退料を支払ったような場合には、取得費に含まれます。

なお、マンションなどの建物は土地と異なり、時間の経過に伴い価値が減少していくものとして考えられています。
そこで、その価値の減少分を取得費に反映するために減価償却という計算方法を使って、その減少分を算出することとしています。

減価償却の詳細な計算方法については、紙幅の都合上割愛しますが、

取得費 = 購入に要した金額 - 減価償却費

という算式で取得費を求めることができます。

以下に簡単な例をあげておきます。

(対象物件)
・新築で土地3000万、建物2000万(諸経費込み)で購入し、10年後に売却。
・鉄筋コンクリート造
・法定耐用年数 47年

(土地価額)(建物価額) (減価償却費の計算)
取得費 = 3000万 + 2000万 -(2000万×10年÷47年)=45,744,681円

住めば住むほど、減価償却費の金額が大きくなっていき、取得費の金額は下がっていくことになります。

マンション購入時の契約書を紛失してしまったら?

住んでいたマンションを売却するにあたって、居住期間が20年、30年と長くなってくると購入した時の売買契約書や諸経費の領収書等を失くしてしまうケースも多々見受けられます。

こういったケースでは、購入金額等を税務署に証明する書類がなく、正確な取得費の計算が困難になります。

そのような場合の救済措置として、土地建物の取得費については、概算取得費控除の特例の適用が租税特別措置法により認められており、売却価額の5%相当額を取得費として選択適用できます。

しかし売却価額の95%が売却益となるのは、大変厳しいです。

そうならないように、マンションを購入した時の書類関係は、1つのファイルにまとめて金庫等で保管するなど、必要な時にすぐ取り出すことができるよう、厳重に保管するようにしておきましょう。

譲渡費用の範囲

譲渡費用とは、マンションの譲渡をするためにかかった費用のことをいいます。

・登記代
・司法書士に登記を依頼する費用
・印紙代
・仲介手数料

居住用のマンションを譲渡する場合には、通常これらの費用がかかります。

税金を計算するためのSTEP

STEP1 譲渡所得のグルーピング

譲渡税の金額を求めるにあたっては、算出した売却益をマンション購入時から売却時までの期間に応じて、長期譲渡所得と短期譲渡所得のグループに分ける必要があります。

長期譲渡所得と短期譲渡所得によって、譲渡税の税率が変わってきます。

長期譲渡所得の税率 = 15%(住民税5%)

短期譲渡所得の税率 = 30%(住民税9%)

なお、平成25年から平成49年までは、復興特別所得税として基準所得税額の2.1%を所得税とあわせて納付しなければなりません。

STEP2 税金の計算上、特別控除の特例が使えるかどうか確認!

土地建物などの不動産を譲渡した場合には、税金の計算上、特別控除の特例を受けることができる場合があります。

現在お住まいのマンションなどのマイホームを売却する際には、税金の特別控除の特例として3000万円の控除を受けることが可能です。

その他の税金の特別控除としては、公共事業などのために収用される場合に5000万円の特別控除を受けられることや、特定土地区画整理事業などのために土地を売却した場合には、2000万円の特別控除の特例を受けられることなどがあります。

不動産を売却した場合には、ケースごとに税金の計算上、特別控除の特例が受けられるかどうかを必ずチェックしておくようにしておきましょう。

STEP3 実際に税金を計算してみましょう

(売却物件)
・構造 RC造の居住用マンション1室
・購入価額 5000万円
内訳 建物 3000万円
土地 2000万円
・所有期間 10年
・売却価額 1億円
内訳 建物 5000万円
土地 5000万円
・売買契約書に貼付する印紙代 6万円
・仲介手数料 300万円

譲渡税の計算にあたり、まずは、取得費を求めていきます。

(土地)  (建物)   (建物の減価償却費)
取得費 = 2000万円 +(3000万円 - 3000万円×0.022×10年)
= 43,400千円

譲渡費用については、今回のケースの場合、印紙代6万円と仲介手数料300万円のみになりますので、合わせて306万円になります。

(売却価額)  (取得費)  (譲渡費用) (特別控除額)
譲渡所得 = 100,000千円 -(43,400千円 + 3,060千円)- 3000万円
= 10,340千円

所有期間は10年ですので、所有期間が5年超となり、今回は長期譲渡所得に該当します。

譲渡税額 = 10,340千円 × 15% = 1,551,000円
復興特別所得税 = 1,551,000円 × 2.1% = 32,571円

10年を超えて住み続けた人の特典

マイホームに長年住み続けた人には、3000万円の特別控除のほかに、譲渡税の税率を軽減する特例が設けられています。

一定の要件を満たすと上記の図のように、長期譲渡所得のうち6000万円までは、所得税が10%、住民税が4%の軽減税率が適用されます。

マイホームを売却して譲渡所得が6000万円を超えるようなことは、ほとんどありませんので、10年以上住んだマンションを売却するような場合はたいてい軽減税率により税金を計算することになるかと思います。

一定の要件について

譲渡した年の1月1日における所有期間が10年を超えるもの
居住用財産であること
譲渡先が売主の配偶者その他特別の関係のある者でないこと
交換の特例等他の特例の適用を受けていないこと

なお、④については、3000万控除などの特別控除の特例との併用適用は可能です。

今回は、居住用のマンションを売却した場合の税金の計算について、説明しましたが、他にもマンションを買い替える場合の特例や交換の特例など、さまざまな特例等がありますので、実際にマンションを売却する際には、税理士等の専門家に必ず相談するようにしましょう。

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