土地を売るときのトラブルを未然に防ぐ、書類や契約・ルールの注意点

土地売却の注意点は、たったひとつです。

それは、「トラブルを起こさない」ことです。

自分の責任になるトラブルを起こさないことは当然として、自分以外の当事者が起こすトラブルに巻き込まれないようにしなければなりません。

土地売却で起こるトラブルの多くは、売却する土地に関する調査の不足です。

土地の調査の大部分は、土地売却のパートナーである宅地建物取引業者が行います。

しかし、売主が何もしなくて良い訳ではありません。

土地売却のトラブルを防ぐために、売主として注意すべき点についてお伝えします。

土地売却を含む不動産の契約には、契約書の他に「重要事項説明書」という書類が作成されます。

契約書には、土地の価格や面積、トラブルが起きた場合の対応等の取引の条件が記載されていますが、「重要事項説明書」には土地そのものの情報が記載されています。

つまり契約書と同じく所在地や面積、売買価格も記載されていますが、その他に登記事項証明書に記載されている内容や都市計画法や建築基準法等の法律上の規制の有無と規制がある場合の内容等も記載されています。

「重要事項説明書」に記載しなければならない事項は、「宅地建物取引業法」という法律によって決まっています。

パートナーの宅地建物取引業者は上記の法律に基づいて売却する土地の調査を行います。

調査を行うために宅地建物取引業者は現地の他に市区町村役場や法務局、上下水道局、都市ガスの供給事業者等に行きます。

こうしてパートナーの宅地建物取引業者は「重要事項説明書」を作成します。

作成した「重要事項説明書」は、契約の締結の前に買主に対して面前で(一部例外はありますが)説明されなければなりません。これも「宅地建物取引業法」で決まっています。

また、「重要事項説明書」を説明する人は、「宅地建物取引士(以前は、「宅地建物取引主任者」と呼ばれていました)」という国家資格を持つ者でなければなりません。

つまり土地を含む不動産のような高額なものの取引には、取引の安全と買主の保護の為に、先ず説明を専門の有資格者によって十分に行い、買主がそれを理解し、納得してから契約を取り交わすという順序になります。

さて、「重要事項説明書」に記載しなければならない内容は「宅地建物取引業法」によって決められていることは既に説明しました。

その中に「買主が購入するかどうかを決定するために影響するもの」も「重要事項説明書」に記載して説明しなければならないことになっています。

これには売主の協力が重要です。

「買主が購入するかどうかを決定するために影響するもの」とは何でしょうか。

幅広く解釈できる表現ですが、実際の土地売却の場面では多くは土地の不具合(土地売却を含む不動産の取引では、これを「瑕疵(かし)」と呼んでいます)のことを指します。

不具合(瑕疵)には物理的な不具合だけでなく心理的なものも含みます。

心理的な瑕疵の代表的な例は、所謂事故物件です。

パートナーの宅地建物取引業者は、市役所や法務局での調査だけでなく現地の調査も行います。

しかし民間人又は民間事業者に過ぎない宅地建物取引業者では、事件事故の有無の調査を行うには限界があります。

売主が注意する点はここです。

売主は、売主として知っている情報がありましたら、良い情報だけでなく悪い情報も全てパートナーの宅地建物取引業者が調査を行っているときに伝えてください。

そして知らないことについては、「知らない」と伝えてください。

ここで虚偽の説明を行ったり、故意又は過失により事件事故の事実を伝えずに土地売却を行った場合、売主に責任(損害賠償責任)が生じる可能性があります。

これも注意すべき点です。

「一定のプロセスを経た不動産は事件事故について説明をしなくても良い」という不動産取引に関する噂があります。

これは正確ではありません。

土地売却を含む不動産の取引と事件事故の説明との関係について、判例では一定のルールではなく個々の事件事故の状況に応じた判断がされているようです。

ですので、個人的な感覚で事件事故等の説明をしなくてもよいと判断するのは避けた方が良いでしょう。

取引を行う物件そのものについてだけではなく、その近隣についても「買主が購入するかどうかを決定するために影響」する場合があります。

例えば、悪臭を発する施設や反社会勢力に関連する施設が近隣にあるなどです。

売却する土地の外であっても、近隣に影響を及ぼす施設や重大な事件事故があった場合、「買主が購入するかどうかを決定するために影響するもの」である可能性があります。

これについても同様に知っていることがあればパートナーの宅地建物取引業者に全て伝え、知らないことについては、「知らない」と伝えてください。

親族の土地を相続で取得するなど、一度も近隣で生活したことがない土地を売却する場合には、このような事件事故、または近隣の施設についての情報が全くないこともあるかもしれません。

その場合は、その旨をパートナーの宅地建物取引業者に伝えて買主にそのことを十分に理解させて購入の検討をしてもらいましょう。

これまでご説明した注意点について十分理解し、行動していただければ土地売却のトラブルを防ぎ、売主の法的責任を回避し、結果として売主も買主も満足できる土地の売却に繋がるでしょう。

土地売却のトラブルには売主自身で起こしてしまうものの他に、不本意ですがそれ以外の当事者が起こすトラブルに巻き込まれてしまう場合があります。

買主に問題がある場合、出来れば契約書を取り交わすまでに対処しましょう。

場合によっては、契約しないという選択も考えられます。

折角現れた契約の機会を逃すことは残念なことと思いますが、トラブルに巻き込まれるリスクと比較検討すれば、こちらの方がベターな選択であるとお分かりいただけるのではないかと思います。

特に買主が反社会勢力に関連する者である場合は、トラブルに巻き込まれない為にも契約を締結してはなりません。

多くの契約書には「契約の相手方が反社会勢力に関連するものである場合、仮に契約の締結後であっても、又は代金の支払いと所有権移転後であっても契約を無効とし、現状を回復する」旨の記載があります。

しかし、一度契約を締結してしまえば、上記の規定による契約の無効を主張しても争いとなり、時間と労力がかかる事態になるかもしれません。

このような事態に陥りたくないのは、売主だけでなくパートナーの宅地建物取引業者も同様です。

売主もパートナーの宅地建物取引業者も売却の機会を逃してしまうことに慎重になるかもしれませんが、共通のリスクを回避するために協力し合いましょう。

また残念な状況ですが、本来は信頼すべきパートナーの宅地建物取引業者によって生じたトラブルに巻き込まれてしまう場合もあります。

ほとんどの宅地建物取引業者は真面目にそれぞれの仕事に取り組んでいますが、ごく一部ではありますが残念なことに意図的にお客様に損害を与えて利益を得ようとする者がいます。

そして、意図的ではありませんが経験不足や業務に関する知識不足等によりトラブルを起こし、土地売却の当事者である売主や買主に迷惑をかけてしまう宅地建物取引業者がこれもごく一部ですがいます。

土地売却のパートナーの選び方は既に説明していますが、このようなトラブルに巻き込まれないように十分にご注意ください。

もしパートナーの宅地建物取引業者によってトラブルに巻き込まれてしまったときで、悪質なケースでは宅地建物取引業者の監督官庁である国土交通省、又は各都道府県にご相談ください。

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【執筆協力】

茅原真澄

・かやはら行政書士事務所
・ハウスアンドロー
代表

■保有資格
宅地建物取引士
行政書士
賃貸不動産経営管理士
日商簿記2級
フォークリフト技能講習修了

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